複利とは、利息を元本に組み入れ、利息にも利息がつく仕組みのことです。同じ年3%でも、100万円を30年運用すると単利では190万円、複利では約243万円と、約53万円の差が生まれる計算になります。
この記事では、投資をこれから学ぶ方に向けて、複利の意味・計算方法・単利との違い・注意点を、まな先生・こころ・すいの3人の会話とともに解説します。金融庁の公開情報など公的な根拠に触れながら進めるので、読み終えるころには「複利を生かす積立の始め方」まで具体的に分かる構成です。
複利とは何か?意味と定義を先に確認
複利とは、利息を元本に組み入れ、その合計に対して次の利息が計算される仕組みのことです。
もう少しかみ砕くと、複利では「元本+これまでの利息」の合計に利率を掛けて、次の利息を計算します。例えば100万円を年3%で運用すると、1年目の利息は3万円ですが、2年目は103万円に対して3%がつくため、利息は3万900円に増えます。
一方の単利は、利息を元本に組み入れず、いつも最初の100万円に対してだけ利息を計算します。日本証券業協会の用語解説でも、複利は「利息が利息を生む」計算方法として説明されています。
複利のカギは利息を受け取らずに元本へ組み入れることです。利息を受け取って使ってしまうと、増え方は単利と同じになります。
複利の仕組みをもう少し詳しく
複利は「元本+利息」に利息がつくため、時間がたつほど増え方が加速していく点が特徴です。
計算式は「掛け算の繰り返し」だけ
複利の計算式は、掛け算を年数分繰り返すだけです。
元利合計=元本×(1+年利率)の運用年数乗、で求められます。100万円・年3%・20年なら「100万円×1.03の20乗=約181万円」です。自分で計算しなくても、後述する金融庁のシミュレーションで簡単に確認できます。
単利との差は年数とともに加速する
単利との差は、運用の後半になるほど急に広がります。
| 経過年数 | 単利(年3%) | 複利(年3%) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 10年 | 130万円 | 約134万円 | 約4万円 |
| 20年 | 160万円 | 約181万円 | 約21万円 |
| 30年 | 190万円 | 約243万円 | 約53万円 |
※100万円を運用した場合の税引前の試算です。10年目の差は約4万円ですが、30年目には約53万円まで広がります。増え方が「直線」ではなく「曲線」になるのが複利の特徴です。
目安に便利な「72の法則」
72を利率で割ると、お金が2倍になる年数が分かります。
「2倍になる年数≒72÷利率(%)」という経験則です。年3%なら約24年、年6%なら約12年が目安になります。複利のスピード感を直感的につかむのに役立ちます。
72の法則はあくまで概算で、税金や手数料は考慮されていません。厳密な数字は金融庁のシミュレーションなどで確認しましょう。
なぜ複利が重要なのか・背景
低金利と長寿化が進む日本では、時間を味方につける複利が資産形成の土台になるとされています。
背景には「長寿化」と「制度の後押し」があります。金融庁の報告書「高齢社会における資産形成・管理」(2019年)では、長寿化にともない、長期の資産形成の重要性が高まっていると指摘されています。
また、2024年に始まった新NISAでは、非課税で長期の積立投資を続けられる環境が整いました(金融庁NISA特設サイト)。運用益に通常かかる20.315%の税金が非課税になるため、利益を再投資に回しやすく、複利効果を削られにくいとされています。
大手銀行の普通預金金利は年0.2%程度(2025年時点の公表値)にとどまるとされ、預金だけでは複利の効果を実感しにくいことも、長期の積立投資が注目される背景の一つです。
複利は「金利が高い時代の昔話」ではなく、低金利の今だからこそ、時間をかけて資産を育てる考え方として重要になっています。
複利の種類・分類
複利は利息がつく頻度で1年複利・半年複利・1カ月複利に分かれ、頻度が高いほど増えやすくなります。
利息がつく頻度による分類
複利は利息の組み入れ頻度で主に3つに分かれます。
- 1年複利: 年1回、利息を元本に組み入れる(多くの定期預金)
- 半年複利: 半年ごとに組み入れる(ゆうちょ銀行の定額貯金など)
- 1カ月複利: 毎月組み入れる(毎月積立の運用はこれに近い動き)
同じ年利率なら、組み入れの頻度が高いほど最終的な金額はわずかに多くなります。
複利が働く主な場面
複利は預金・投資・借入の3つの場面で働きます。
- 預金: 利息が自動で元本に組み入れられる商品で複利になります
- 投資: 投資信託の分配金再投資や、株式の配当を再投資する運用が複利に近い効果を持ちます
- 借入: リボ払いやカードローンでは、利息が膨らむ方向に複利が働きます
投資信託は「分配金再投資型」を選ぶと、分配金が自動で買い付けに回り、複利に近い運用を手間なく続けられます。
複利のメリットを詳しく
複利の最大のメリットは、運用期間が長いほど利益が利益を生み、増えるペースが上がることです。
時間が長いほど利益の伸びが加速する
複利の効果は、期間の後半に集中して表れます。
月1万円・年3%で積み立てた場合の運用益は、10年で約20万円、20年で約88万円、30年で約223万円という試算になります(金融庁「資産運用シミュレーション」による、税引前)。期間が3倍になると、運用益は約10倍以上に増える計算です。
少額からでも始められる
複利に「まとまった元手」は必須ではありません。
ネット証券には月100円から投資信託を積み立てられるところもあります。金額の大きさよりも、早く始めて長く続けることが複利では効いてきます。
非課税制度と相性が良い
NISAを使うと複利効果を削られにくくなります。
通常、運用益には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座内の利益は非課税です(金融庁NISA特設サイト)。税金で引かれない分をそのまま再投資に回せるため、複利との相性が良いとされています。
複利のメリットを最大化する順番は「早く始める→長く続ける→非課税制度を使う」の3つです。
複利のデメリット・注意点
複利は万能ではなく、短期では効果が小さいうえ、投資では損失も拡大しうる点に注意が必要です。
投資は計算どおりに増えるとは限らない
シミュレーションの利回りは約束された数字ではありません。
投資信託や株式は価格が変動するため、年によってはマイナスになり、投資した元本を下回る可能性もあります。金融庁は、値動きの影響をならすために「長期・積立・分散」を組み合わせることを呼びかけています。
手数料と税金が複利効果を削る
わずかなコスト差も、長期では大きな差になります。
月1万円・20年の積立で、実質利回りが3%から2%に下がると、最終額は約328万円から約295万円へと約33万円減る計算です。信託報酬(投資信託の運用コスト)の低い商品を選ぶことが、複利を守る基本とされています。
借金にも複利が働く
高金利の借入では、複利があなたの敵になります。
リボ払いやカードローンの金利は年15%前後が一般的です。仮に10万円を年15%の複利で5年間放置すると、約2倍の20万円前後に膨らむ計算になります。
高金利の借入がある場合は、積立投資より先に返済を優先するのが合理的とされています。複利の力を「支払う側」で受け続けないことが大切です。
月1万円の積立は20年でいくらになる?具体例で理解する
月1万円を年利3%で20年積み立てた場合、元本240万円に対し総額は約328万円になる計算です。
金融庁「資産運用シミュレーション」を使った試算(税金・手数料は考慮せず)を、期間別に整理します。
| 積立期間 | 元本 | 総額(年3%) | 運用益 |
|---|---|---|---|
| 10年 | 120万円 | 約140万円 | 約20万円 |
| 20年 | 240万円 | 約328万円 | 約88万円 |
| 30年 | 360万円 | 約583万円 | 約223万円 |
利回りが変わると結果も大きく変わります。20年間・月1万円の場合、年1%なら約266万円、年3%なら約328万円、年5%なら約411万円という試算です。利回りと期間の掛け合わせが複利の結果を決めることが分かります。
上記は一定の利回りが続いた場合の計算例であり、将来の運用成果を約束するものではありません。実際の投資では増減を繰り返しながら推移します。
複利の始め方・使い方(初心者向け5ステップ)
複利を生かす第一歩は、NISAなどの制度を使い、少額の積立を長く続ける設定を整えることです。
- 目的と期間を決める: 老後資金・教育費など、「いつまでに・何のために」を先に決めます。期間が長いほど複利が働きます。
- 生活防衛資金を確保する: 生活費の3〜6カ月分程度を預金で確保しておくと、急な出費で積立を崩さずに済むとされています。
- NISA口座を開設する: 2024年開始の新NISAは、つみたて投資枠が年120万円、非課税保有限度額は1,800万円です(金融庁NISA特設サイト)。
- 分配金再投資型の投資信託で積立を設定する: 月100円〜1万円など無理のない金額で自動積立にします。信託報酬の低い商品が基本です。
- 基本はそのまま続け、年1回だけ見直す: 途中でやめると複利の連鎖が止まります。値動きに一喜一憂せず続けることが最重要です。
複利は「続けた人」に働く仕組みです。金額の大きさより、自動で続く仕組みを最初に作ることを優先しましょう。
複利と単利どちらが有利?似た用語との違い
同じ利率なら受け取る利息は複利のほうが多くなり、期間が長いほど単利との差は広がります。
混同しやすい用語を表で整理します。
| 用語 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 単利 | 元本だけに利息がつく | 100万円・年3%・30年→190万円 |
| 複利 | 元本+利息に利息がつく | 100万円・年3%・30年→約243万円 |
| 利率 | 元本に対する利息の割合(表面上の率) | 「年利3%」などの表示 |
| 利回り | 投資額に対する収益全体の年平均割合 | 分配金や売却益も含めた実質の率 |
利率は「約束された表面上の率」、利回りは「結果としての年平均の率」という違いがあります。金融商品を比べるときは、表示がどちらを指しているかを確認することが大切です。
増やす場面では複利が有利、借りる場面では複利が不利。商品比較では「利率か利回りか」を必ず確認しましょう。
まとめ:複利は時間を味方につける仕組み
複利は利息が利息を生む仕組みで、少額でも早く始めて長く続けるほど効果が大きくなります。
- 複利とは「元本+利息」に利息がつく計算方法で、増え方は年数とともに加速します
- 100万円・年3%・30年で、単利との差は約53万円に広がる計算です
- 月1万円・年3%の積立なら、20年で約328万円(元本240万円)という試算です
- 投資は計算どおりに増えるとは限らず、手数料・税金・借金の複利に注意が必要です
- 始めるならNISAなどの非課税制度と、分配金再投資型の少額積立が相性の良い組み合わせとされています
今日できる次の一歩は「金融庁の資産運用シミュレーションで自分の金額を試算してみること」です。数字を自分ごとにすると、続ける動機になります。
よくある質問
ここでは複利について初心者の方から特によく寄せられる5つの疑問に、結論から短くお答えします。
預金でも複利の効果はありますか?
効果はありますが、現在の金利水準では限定的とされています。年0.2%で100万円を20年預けても約104万円と、増加は約4万円にとどまる計算です。なお、預金は預金保険制度により、1金融機関につき預金者1人あたり1,000万円までの元本とその利息等が保護されます(預金保険機構)。
お金が2倍になるには何年かかりますか?
「72÷利率(%)」でおおよその年数が分かります。年3%なら約24年、年6%なら約12年が目安です。あくまで税金・手数料を考慮しない概算である点に注意してください。
借金にも複利はつきますか?
つく方向に働きます。リボ払いやカードローンは年15%前後の金利が一般的で、10万円を5年間放置すると約2倍に膨らむ計算です。高金利の借入返済は、積立投資よりも優先するのが合理的とされています。
複利運用を非課税でしたい場合、どの制度が使えますか?
NISAとiDeCoが代表的です。新NISA(2024年開始)は非課税保有限度額1,800万円でいつでも売却でき、iDeCoは掛金が所得控除になる一方、原則60歳まで引き出せません。目的に応じた使い分けが必要とされています。
複利のシミュレーションはどこでできますか?
金融庁の「資産運用シミュレーション」ページで無料ででき、毎月の積立額・利回り・年数を入れるだけで将来額を試算できます。本記事の数値も同じ計算方法に基づいています。
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本記事は金融庁など公的機関の公開情報をもとに作成していますが、個別の投資判断はご自身の状況によって異なります。具体的な商品選びや税金の扱いについては、金融機関の窓口やファイナンシャルプランナー、税理士など専門家への相談をおすすめします。
最終確認日: 2026年7月17日
